ーー人生リスト
死ぬ前にやりたいこと
本作は2007年のアメリカ映画「最高の人生の見つけ方(原題 The Bucket List)」をリメイクした作品です。
リメイク版では北原幸枝(演者・吉永小百合)と剛田マ子(演者・天海祐希)の女性2人が、「死ぬ前にやりたいこと」のリスト帳を作成し、1つ1つ達成するごとにチェックハート欄を塗りつぶして後悔のない人生を送る、そんな物語が展開されます。
作風はコメディとシリアスのダブル展開。
途中、幸枝とマ子が海外旅行をしたり、思い切った企画に挑戦したり、ももクロのライブに参加してステージで踊ったりと、比較的コメディ要素が強いです。
ただ医師にがん宣告をされた幸枝は、家族に事実を打ち明けられず、自分の体に無理を強いるばかりでますます病状を悪化させてしまうなど、病気と奮闘する幸枝の姿も描かれています。
つまり「死ぬ前にやりたいこと」というのは、”3年”という短い余命が確定した幸枝による人生の目標だったんですね。
ひきこもりの息子と家事に無頓着な旦那、それらの世話を全て負担させられる娘など、家族関係も悪い。
そうした中で生まれたのが「死ぬ前にやりたいこと」を箇条書きしたリスト帳でした。
ではあらすじです。
ーー余命宣告された幸枝
生きる目的を失う
娘と息子、旦那を家族に持つ北原幸枝(演者・吉永小百合)は、医師にステージ4まで進んだガンの末期を伝えられ、病棟生活を過ごすことに。
娘の北原美春(演者・満島ひかり)は幸枝のお見舞いに来ますが、幸枝に息子と旦那の世話を全て押し付けられ、怒って病院を出て行ってしまいます。
一方、航空会社の社長業を営む剛田マ子(演者・天海祐希)は、ロケット打ち上げの研究に没頭しており、秘書である高田学(演者・ムロツヨシ)も研究の手助けを行っていました。
ある日、幸枝が入院している病院に社長のマ子がやってきました。
その途中、マ子の愛人である三木輝男(演者・賀来賢人)がマ子のお見舞いに来ました。
マ子は自分と同じ病院に入院している幸枝を気にかけ、2人は次第に心惹かれ合うようになります。
💡実は天海祐希さん演じる剛田マ子も幸枝と同じような病気を抱えており、余命いくばくもない身体でした。
表向きは強い女性を演じていますが、最後の幸枝への手紙で明らかになる「本当は(死ぬのが)怖くて泣き出したかった」というメッセージが心に響きますね。。
マ子と幸枝は外のベンチでお互いのことを語り合い、仲を深めていきました。
その際、そばにいた1人の女の子がタバコを吸おうとしており、それを止めようとした幸枝でしたが、その女の子も何やら訳ありな事情を抱えており、立ち去ろうとしたときにその場で倒れ込んでしまいました。
すぐに救急搬送されましたが、女の子の弟が「死んじゃったよ。」と幸枝に言ってきたため、幸枝は途方に暮れることに。
また、亡くなった女の子のベッドには「死ぬ前にやりたいこと」と題されたリスト帳が残されており、幸枝はこれをみて少女の叶えたかった夢を自分が叶えることで女の子の夢を引きつごうと決心しました。
一方、マ子が運営する航空会社では次期社長推薦候補である三木輝男が会社を乗っ取ろうと画策しており、マ子を強制的に解雇しようとしていました。
また、マ子が末期の病気におかされていることも役員全員に告白。
その結果、多くの人の賛同が集まりましたが、マ子がそれを必死に止めて「私がそう簡単に死ぬと思ってんの??」と会社運営を担う自分の力強さとポテンシャルの底堅さをアピール。
なんとかその場を収めました。
ここでマ子は愛人である三木輝男に不信感を抱くことに。
幸枝はリスト帳の目標を達成するため、マ子を一緒に誘います。
2人は早速海外に飛び、そこでの体験を経てリスト帳を次々に埋めていきます。
飛行機から地上に向かってスカイダイビングしたり、ももクロのライブに参加してステージで踊ったり、スフィンクスの像を眺めたり…。
多くの未知の体験を通して育まれていった2人の友情。
年齢も地位も異なる2人が唯一共通していたもの…
それは「死ぬ前にやりたいこと」を達成する…ということでした。
途中、意見のすれ違いから喧嘩に発展することもありましたが、2人はついにリスト帳末に書かれていた「ウエディングドレスを着ること」に挑戦。
ただマ子は反対したため、幸枝だけが着ることに。
そしてエキストラを大勢雇いムードを出した結婚式場でマ子の秘書である高田が神父を務め、ここで幸枝が入場。
会場が盛り上がる中、幸枝の新郎として旦那である北原孝道(演者・前川清)が現れ、事態は一変。
これまで料理や洗濯など家庭の作業を放り出し、妻である幸枝に負担ばかりかけていた自分の不甲斐なさを痛感した孝道は、これからは家事も育児もこなす立派な父親になると力強く宣言。
幸枝は嬉し涙を流し、会場は拍手と歓声の嵐に包まれました。
その後、幸枝の旦那が料理を作り、家族の溝も埋められたかと思いきや、ここで娘の美春が体内に赤ちゃんを宿していることが判明し、陣痛にあえいでしまいます。
幸枝は焦りますが、この際に2階に引きこもっていた息子の北原一慶(演者・駒木根隆介)に必死に呼びかけ、娘の面倒を見てほしいと懇願しました。
ひきこもりの息子はなかなか幸枝の返事に応じてくれませんでしたが、ついに心を開き、美春の面倒を見ることを受け入れました。
「一慶(いっき)。。大好き…!」
幸枝の息子に対する最大限の愛情表現。
ついに家族の間で生じていたすれ違いやわだかまりが解け、幸枝も安心して3年間の余命生活を全うし、この世を去りました。
実は幸枝が亡くなる前、これまで交流を共にしてきたマ子が幸枝に対し遺言書と手紙を残していました。
億単位に相当する遺産を幸枝に相続し、息子・孫の代にまで引き継いでほしい…という願いが込められていました。
「私にとっての家族は会社。」
「幸枝にとっての家族は息子や娘、旦那の3人。」
それで自分の幸せを後世まで引き継ぐことができれば、自分の生きた人生にも意味があったと言えましょう。
マ子の手紙の最後の一文に
「あなたと会えて本当によかった。」と綴られており、感極まった幸枝とマ子の秘書高田は涙を流してしまいます。
その後、幸枝も後を追うように亡くなり、2人が最後叶えたかった夢「宇宙旅行をすること」を実現するため、高田はロケット打ち上げについに成功し、2人の夢の分まで生きると力強くアピール。
高田は幸枝とマ子の名前が書かれた模型ロケットを手に振りかざし、天国にいる2人に向かって夢を実現したことを伝え、物語は静かに終了します。
夢は一生物
あらすじではかなり端折っている部分もあるので話の前後がわかりにくいかもしれません。
本文では書けなかった重要な部分をピックアップしていきますね。
・マ子の愛人である三木輝男はマ子の会社を乗っ取るために違法な投機に手を染めて30億円相当の赤字損失を出しており、マ子は今までの情けを捨てて刑事告訴&(三木の)解任決議を表明した。
・マ子の母親は幼少期に亡くなっており、父親は蒸発したため、マ子は誰からも愛されない孤独の人生を送ってきた。学校ではいじめに遭い、鉄棒で逆上がりの練習を無理やりさせられ、苦渋を舐めてきたマ子。大人になって幸枝と出会い、その積年の恨みを晴らすかのごとく鉄棒で逆上がりを決行。見事成功し、病院で療養中だった父親がそれを褒めて関係が修復し、マ子は嬉しさのあまり泣いてしまった。
・マ子が主婦業をやる幸枝に対し「呑気な人生」と言ったため、幸枝は「私の人生を馬鹿にしないでください‼︎」と反論して少しばかりの喧嘩に発展。その際、無理をしたのか幸枝はホテルで倒れ込んでしまい、病院に緊急搬送。そこで初めて旦那である北原孝道ががんに蝕まれた妻の病気に気づく。そして妻に負担ばかりかけていた自分の不甲斐なさを恥じ、これからは真人間になることを結婚式でアピールした。
・最初にタバコを吸っていた女の子は実は生きており、最後のシーンで幸枝と出会い、家族との関係もよくなり、不登校も改善できたと伝えた。
など…。
人生で何1つ成し遂げられなかった人や、志半ばで病気にかかり亡くなってしまった人は、「自分の人生、なんだったんだろう」と悲観的になってしまうのも無理はありません。
でも自分が叶えたかった夢は次の代、もう次の代にまで引き継ぐことができるのです。
それを最後に実現したのがムロツヨシが演じる高田学でした。
亡くなる前に遺言書を作成したり、自分が「死ぬ前にやりたいこと」をリスト帳にまとめておく。
そうすることで自分の夢は息子や孫の代まで連鎖し、後悔のない人生だったと思えるはずです。
もしいつ自分が死ぬか怖いのであれば、自分の叶えたい夢や願望などは自分が死ぬ前に必ずリスト帳かノートにメモしておきましょう。
もしかしたらそれを見た人が自分の代わりにあなたの”夢”を果たしてくれるかもしれません。