ビリギャル

 

ーー成績最下位だったビリギャルが

トップの成績を叩き出すまでの痛快な下剋上物語!

 

昨日夜、PM22時から何もやることがなかったのでNetflixを漁り、ふと目についたのが「ビリギャル」という映画でした。

2015年に有村架純さんが主演を務めた映画で、成績ビリの子が慶應義塾大学へと目指すまでのサクセスストーリーが描かれています。

 

私は最初この映画のタイトルとサムネを見たとき、

高学歴を美化するような映画なんだろうな〜。」と

先入観を持っていました。

 

いかにもビリだったギャルがトップクラスの進学校へと破竹の勢いで合格、

君もやればできる!」という都合の良いモチベーション底上げの言葉をそのまま体現したような映画だと。

そう思っていました。

 

でも蓋を開けてみれば自分が目指すべきものは何か、親に縛られている自分が嫌で物事を投げ出したい、自分の好きなことがしたい、といった自分なりの方向性を不安と葛藤の中模索するという映画でした。

つまり方向性を見失えばモチベーションは保てないと。

これをやりたいから努力する!」といった原動力がないと自分が本当にしたいことやアイデンティティに揺れるだけで、成果は何1つ生み出せない。

 

そういう目的に向かって遮二無二努力する有村架純さんの姿が作中を通して描かれています。

途中、その不安と葛藤の果てに受験勉強を投げ出してしまう有村架純さんの姿、家族と不和亀裂が生じてしまうシーンもありますが、最終的には「丸くおさまる」のがこの作品の良さでした。

 

ではあらすじを紹介いたします。

 

ーーあらすじ

受験を志望するまでの動機

 

小学校ではいじめに遭い、どこへ転校しても周囲に馴染めず1人ぼっちだった工藤さやか(演者・有村架純)。

最終的に落ち着いたのが中高一貫校の学校でした。

 

さやかは学校内でも問題児の1人であり、友達と群れてはカラオケやスナックに行く毎日を送っていました。

髪も金髪に染め、濃いギャルメイクを施した上で学校の授業に参加し、担当教師(演者・安田顕)を困らせていました。

 

ある日、教師である西村隆は、さやかが学校にたばこを持参していることを知り、無期限停学処分を下します。

 

さやかは気にも留めず、自分の家で怠惰な毎日を送る始末。

学習の遅れを心配した母親・工藤明はさやかを私塾に通わせることにし、この塾でさやかの運命を大きく変えることになる塾講師と出会います。

 

その講師の名前は坪田義孝(演者・伊藤淳史)。

坪田はさやかの可能性を信じ、勉強の道へと導き出します。

最初に軽くテストを行ったところ、全問不正解。

しかし、

解答欄を全部埋めている

(さやかの)奇天烈な発想やアイデア

に無限大の可能性を見出し、なんと「慶應義塾大学に合格する」という思い切った目標を打ち立てました。

 

💡奇天烈な発想というのは”strong”という英単語の綴りを

storyが長い(=long)」というふうに解釈したり、

聖徳太子のふりがなを「せいとくたこ」と読んでしまったり…

普通の人には考えが及ばないところにまで発想が回ってしまうことを指しました。

 

さやかは家に帰り、母親がそれを知ると「え?どこの慶應」と驚きました。

 

友達と遊ぶときも勉強にのめり込み、定期的に塾に通い詰めました。

 

ーー目的を見失わずに

突き抜けることの大切さ

 

ある日、さやかと同じく入塾してきた1人の男・森玲司(演者・野村周平)が坪田の言葉に感化されて、志望校に合格することを決意しました。

森は最初入塾を拒否していましたが母親(演者・峯村リエ)の押しの強さに負けてしまい、渋々坪田と面会する形に。

 

森は父親に”ある復讐”を果たすため、受験勉強に燃え上がりました。

 

さやかと森はお互いに勉強に励み、地道に成績を上げていきました。

 

ある日、さやかの弟である工藤龍太(演者・大内田悠平)が父親(演者・田中哲司)の意を汲んで野球チームに所属し、メジャーリーガーを志すことになりました。

一方、父親は頭の悪いさやかのことは小遣い1つも与えずに息子ばかりを贔屓していました。

 

さやかは停学処分が取り消され、再び学校へと復帰しますが、相変わらず授業は居眠りして怠けてばかり。

しかし教師の西村に「お前みたいなクズが慶應に行けるわけないだろ」と罵倒されたため、さやかは奮い立ち、ますます受験勉強に火がつきます。

 

塾にも通い、成績がグンと伸びていく中、授業中での態度を見かねた教師の西村がついに坪田の塾へと抗議します。

 

西村は坪田に対し、

成績の伸びない子はいつまで経っても伸びない。

むしろ悪影響を与えるだけだ。」と一蹴しますが、

坪田はさやかの可能性を信じているため、話し合いは難航。

 

折れた西村はその場で立ち去り、それを聞いていたさやかと森は2人で絶対に合格することを誓い合いました。

 

さやかの母親は娘の努力を応援し、入学費工面のため夜を徹しての仕事に取り掛かり、自炊はさやかの妹・工藤まゆみ(演者・奥田こころ)に担当させました。

それを聞いていたさやかは自分の努力のために家計を圧迫させていることに気づき、プレッシャーに押しつぶされそうになります。

 

ある日、塾で勉強をしていたさやかは難問ばかりにぶつかり、途中で放り出してしまいました。

 

坪田はそんなさやかに対し、1つの卵を取り出して「卵は地面に立たせられるかどうか」をさやかに問いました。

さやかはNOと答えましたが、実は微調整次第で卵は地面と密着し、立たせることが可能でした。

それを目の前で実現した坪田は「卵は立たせることができない」という先入観に支配され、最初から無理と決めつけた。

でも可能性はいくらでもある。

卵を立たせることができるように、受験合格の可能性も努力次第で広げることができるとさやかに説いたのです。

 

さやかは再び勉強に取り掛かり、さらに遊びや娯楽などの誘惑を断つため、髪をバッサリと切り落としました。

 

そしてついに模擬試験が開始され、さやかの腕の見せ所が試されました。

…しかし判定はどの科目も最低クラスの「E」判定。

合格可能性は極めて低いという現実を叩きつけられてしまったのです。

さらに小論文、日本史の応用など難しい問題にぶつかり、またもや嫌になってしまうさやか。

 

ついに坪田に対し、「私もういいです。」と吐き捨て、自暴自棄になってしまいます。

坪田はなんとか説得しようとしますがさやかが気持ちを入れ替えることはなく、坪田はさやかに対し少し突き放したような言い方をしてしまいました。

さやかは塾を飛び出し、母親が働く工場の入り口付近で

ごめん…。。。」と言って泣きついてしまいます。

 

母親は一切咎めることはなく家でさやかを抱きしめ、さやかの頑張る姿や楽しそうな顔を見ているだけで幸せだということを打ち明け、2人は涙に暮れます。

 

その日の夜、父親が息子の龍太に暴力を振るっていました。

理由は龍太が野球を放り出したことによるもの。

龍太は本当は野球が好きでなく、父親を喜ばせるために仕方なくやっていました。

しかしプレッシャーの限界が来てしまい、野球の練習が嫌になってしまったのです。

 

そんな暴力を振るう父親を母親は全力でとめ、父親の勝手なやり方に涙の訴えを叫びました。

その場は一旦沈静化しましたが、父親とは疎遠になってしまいました。

 

💡このシーンは1番うるっと来ました。

父親の言い分も理解できなくはないけど、その我慢やプレッシャーに耐えながら野球を続けるのは精神的に辛かったのでしょうね。

さやかのほうとはまた違ったベクトルの辛さです。

さやかは「受験に合格するため」という明確な目的があったのに対し、弟の龍太は目的そのものを見失っていました。

これが「父親への反抗行為」という形で裏目に出てしまった…。

 

こういう対比的な描写も奥深いですね。

 

さやかはもう1度坪田の塾に行き、受験勉強の辛さに負けまいと力強く宣言し、坪田は嬉しさのあまり涙を流しました。

その努力が功を奏し、E判定だった合格可能性は50%のC判定へと上昇。

受験の合格も見え始めてきました。

 

ある日の夜、塾から帰ってきたさやかが家に着くと父親が庭で野球グローブやユニフォームなど野球に関係する道具を焼いて炭にしていました。

息子の龍太の気持ちを理解し、すべての未練を断ち切ったのです。

 

さやかはそんな折に受験の合格可能性が50%に上がったことを家族に知らせ、母親と妹は驚きました。

 

ーー受験の合格通

結果は…

 

運命の日…。

ついに滑り止め学校の受験当日がやってきました。

その日は雪が降っていたので父親がバスを借りてさやかを受験会場まで連れていきました。

さやか。。頑張れよ‼︎」とエールを送り、今までの厳格な父親のイメージとは打って変わって娘の背中を全力で押してあげました。

 

試験が開始され、無事合格。

まずは滑り止めは一段落です。

残るは慶應のみ。

 

”プレッシャーに打ち勝つための方法…

逆説的にはなるが、プレッシャーを感じるということは、「合格する自信がある」ということ。”

 

さやかは坪田のこの言葉を重く受け止め、ついに慶應の本試験へと臨みます。

しかし試験途中で運悪く腹を下してしまい、思うように成果が振るわず落ち込んでしまいます。

案の定、合格の通知発表では「不合格」の判定が下されてしまいました。

 

しかも残る試験科目はさやかが1番苦手とする小論文のウエイトが半分を占めています。

坪田はそんなさやかに対し、ある1通の手紙を書きました。

 

さやかは最後の受験科目に臨み、小論文では坪田の

小論文はただ自分の意見を書くだけじゃダメだ。反論もしないと。

という言葉を思い出し、そのままなぞるように文字を書き連ねました。

 

そして運命の通知発表…。

 

 

さやかがゆっくりと目を開けPCの画面を見ると「合格」の文字が書かれており、今までの不安やプレッシャーから一気に解放されて喜びました。

母親と妹も喜びに包まれ、さやかの努力を精一杯労わりました。

 

その後は家族で集合写真を撮り、父親はさやかをおぶって慶應義塾大学の入学式へと見送りました。

さやかは電車で上京する際、窓越しから坪田の姿が見えました。

 

坪田が手を振るとさやかも笑顔で手を振り、先生と最後のお別れをしました。

 

坪田がさやかに書いた1通の手紙。

君は僕が人生を変えてくれたと言ったけど、君の頑張る姿こそが、いろんな人の人生を変えたんだと思う。

 

意志のあるところに、道は開ける

 

ーー現代に通ずる

良きヒューマン映画

 

自分で可能性の道を閉ざしてしまい、遊び呆けてしまう毎日。

でも可能性は努力次第でいくらでも広げることができる。

意志のあるところに、道は開ける”。

これは多くの人が忘れてしまっている人生教訓です。

 

努力はただすればいいものではなく、何か目的があって初めて成り立つものです。

現にさやかは「慶應に合格する」という明確な目的があって、遮二無二頑張り続けることができたのです。

弟の龍太はそれを見失っていたため、惰性で野球をしていた。

それがプレッシャーの限界にあたってしまい、途中で嫌になってしまった。

 

人生において何事も目的なしでモチベの導火線がつくことはありません。

モチベを保つには「〜を成し遂げたい」という、明確な目的が必要なのです。

目的を見失えばモチベがそこで消えてしまう。

自分の好きなことを突き詰め、それに向かって努力していく。

 

そんな現代に通ずる教訓話やモットーが散りばめられており、見応えのある良き映画でした。

 

※余談ですが、有村架純さんがとにかく可愛いので目の保養にもなります!

ファンならぜひ1度は見ておいて損はない作品です!