クレイジーモンキー 笑拳

 

ーークレイジーモンキー

はっちゃけたジャッキーが見れる貴重な作品!

 

香港のアクション大スターであるジャッキーが主演を務める1979年制作の「クレイジーモンキー 笑拳」はジャッキーの作品にしては珍しくコメディ色を押し出したモノです。

賭け事をやって師匠のチェンに修行を課されては尻込みしてしまうジャッキーの姿や、最後エンと戦うときのはっちゃけた表情・動作など、基本的に笑いの要素が多い作品です。

 

しかし笑いだけではなく、師匠であるチェンが仇敵・エンに殺されたり、師匠の死に目にあって泣き崩れるジャッキーなど、シリアス系のシーンもちらほら。

1979年の作品だけあってジャッキーの異様な若さぶりと動きのしなやかさ、身の軽さなど、今年の3月・微博(ウェイボー)に投稿されたジャッキーの近影を見るとまるで別人のようです。

 

今年で70歳なのでそりゃ外見も衰えるでしょうが、往時のジャッキーを知れば知るほど昔と今の容姿のギャップに驚きを隠せないですね。

 

国民的アクション俳優として一躍名を馳せ、危険なスタント仕事や体当たりアクションも数々こなしてきたジャッキー。

その全盛期の萌芽とも言える作品の1つが「クレイジーモンキー 笑拳」です。

ファンであればぜひ1度は見ておきましょう。

 

ーークレイジーモンキー 笑拳

あらすじ

 

時は清朝末期の広東。

古い家屋でロン(演者・ジャッキーチェン)と、師匠であるチェン(演者・ジェームスティエン)は同居していました。

 

政府は国の方策に従わない者に「反逆者」の汚名を着せ、殺し屋のエン(演者・ヤムサイクン)を派遣し、その1人であるチェンは身分を伏せて山の奥でロンとともに隠居していました。

 

チェンはことあるごとに「身分だけは明かすな。」とロンに注意を吹き込みますが、ロンが理由を問うてもチェンは答えてくれませんでした。

 

チェンは”行意門”と呼ばれる門派の創始者であり、落ちぶれた行意門の再興を果たすために弟子であるロンを厳しく修行させていました。

ロンは修行に乗り気でなく、最低限の武術の心得はあったものの、厳しい修行から逃げ出す日々を送っていました。

 

ロンは修行を終えると下町に出かけ、博打で儲けるチンピラ3人のゲームに参加。

博打の才を活かしてロンはがっぽり儲け、イカサマを疑ったチンピラ3人組はロンの後をつけることにします。

 

そしてロンの帰り道、チンピラ3人組が道を塞ぎ、ロンに喧嘩をふっかけますが、ロンは3人をコテンパンにして「2度と来るなよ。」と軽く灸を据えました。

 

チェンはロンが持ち帰ってきた高級ワインを飲み、ロンが人前で武術を見せたことに厳しく折檻。

ロンにとって再び厳しい修行が始まるのでした。

 

その翌日、ロンは下町に行き、以前コテンパンにしたチンピラ3人組にばったりと出会います。

そして3人は戦いの意思を見せることなく、自分たちの師範がいる道場にロンを案内します。

 

そこで持ちかけられた交渉はなんと「道場破りを行う者たちを武術で倒し、その報酬代を肩代わりすることで”行意門”を成長させる。」というものでした。

 

ロンはチェンに武術禁止の命を受けていたため、それを1度は断ります。

しかし師範は食い下がり、身分や氏名は伏せて道場を盛り上げていく…という形で交渉は成立。

 

ロンは道場破りを行ってくる武術家たちを次々といなし、病に伏せがちなチェンの治療費の工面のため、その報酬代を少しずつ貯めていきました。

 

しかしある日、チェンはジャッキーが家の庭に埋めた貯金壺を発見し、武術を公にしていることを知って肩を落としてしまいます。

 

ロンは道場破りをコテンパンにして報酬を稼ぐ日々を送っていましたが、ある日チェンに変装が見破られ、戦いを放り出して逃げてしまいます。

チンピラ3人組と師範はチェンの正体が「行意門の開祖」だということに驚き、言葉を失います。

 

一方、政府から派遣された殺し屋のエンの魔の手が行意門にまで迫ってきており、とうとうチェンの居場所を突き止めてしまいます。

その様子を八脚麒麟(演者・チェンウェイロー)が見ており、チェンの危険を感じました。

 

ロンは道端で師匠に対する反省文を考えていたものの、途中道を尋ねられたエンにチェンのいる方角を差してしまい、その後正気に戻ってすぐにエンを追いかけます。

 

しかし時すでに遅し。

チェンはエンと戦いを挑むも歳による肉体の衰えもあってか次第に劣勢になり、最後は首を拘束され帰らぬ人となってしまいます。

 

エンがその場を立ち去るとロンはチェンの死に目に悲嘆し、その様子を見ていた八脚麒麟(通称・8本足の麒麟)から敵討のためしごきを受けることに。

 

💡 この作品では唯一のシリアスシーン!

ロンとチェンの師弟愛の深さが見て取れるほど、ロンの凄まじい悲嘆ぶり。

 

 

チェンを失い、憔悴気味のロン。

初めは八脚麒麟に反抗的でしたが交流を重ねるうちに仲良くなり、厳しい修行にも果敢に挑戦していきました。

 

途中、ロンは下町で偶然出会ったエンに恨みを爆発させて戦いを挑みますが、手も足も出ずに敗北してしまいます。

しかしエンはロンを亡きチェンの知己とは気づいていなかったため、致命傷には至らせませんでした。

 

その後ロンは八脚麒麟に4つの感情に基づく武術の心得を教えてもらい、戦いには単縦な力量だけでなく精神力も重要だということを知りました。

 

ある日、下町から帰ってきたロンでしたが、八脚麒麟の姿がありません。

 

すると外でエンの部下3人が八脚麒麟を追い詰めており、チェンの仲間とみなして殺そうとしていました。

しかしロンが3人を止め、八脚麒麟を間一髪で助けます。

 

そして3人は長尺の槍を携えてロンに切り付けようとしますが、ロンはアクロバットな動きで3人を翻弄し、ほとんど無傷のまま3人を撃退しました。

 

💡 このシーンはかなり見どころ満載です。

ジャッキーが槍の先端スレスレの3人の攻撃を避けまくるという、かなりシュールなシーンです。

なんで当たらないの!?って当時は思っていました。

 

そしてエンがロンの前に姿を表し、ついに因縁の戦いが幕を開けました。

 

しかしロンは怒りに任せたまま戦ってしまい、初めはエンに完膚なきまでにやられてしまいます。

 

その後ロンは冷静を取り戻し、八脚麒麟に教えてもらった4つの感情に基づく武術を心得ます。

これは「」「」「」「」からなる武術の型であり、相手の心を翻弄するために用いる戦法です。

 

最初はエンが優勢でしたが、「」に転じてからは勢いに陰りが見え始め、ロンが「」に入ったときはエンが一方的な劣勢試合に。

エンは徐々に追い詰められ、ついに逆立ちの状態でロンに股間をひじで打たれ、死亡。

 

チェンの仇を取った瞬間でした。

 

ーー師匠の全盛期!?

全盛期ならエンにも勝てた?

 

この映画自体、そこまで知名度はないので深く踏み込んだ考察やレビューはないのですが、ロンの師匠であるチェンは作中すでに老化が進行しており、さらに病を患っていました。

ONE PIECEでいう頂上戦争時の白ひげみたいですね。

 

そしてチェンを反逆者扱いし、政府の犬として殺しを続けてきたエンとの1体1の対峙。

見た目はエンも結構歳いってそうな貫禄のある風貌ですが、決闘中チェンに対し「英雄も腕が落ちたな。」と言っており、当時のチェンの強さをほのめかしています。

行意門の開祖だけあって、全盛期の強さは凄まじかったのでしょう。

 

おそらく全盛期であればエンにも勝てたんじゃないか?というのが私の見解です。

 

いや、あくまで憶測なんですが、短期間の修行でロンに打ち負かされたエンと、全盛期のチェンの強さを比較したらなんとなくチェンに軍配が上がりそうな気がするんですよね〜。

 

本当にあくまで憶測なんですが。