誹謗中傷



ーー誹謗中傷が減らない理由と

その傾向について

 

誹謗中傷という言葉は昔と比べ、さらに耳にする機会が増えたように感じます。

それは間違いなく「SNSプラットフォームの成長」という社会的背景が深く関係しているでしょう。

YouTubeやX(旧Twitter)、InstagramFacebookなどあらゆるユーザーとコミュニケーションが取れるツールが発達したからこそ、それに伴う言葉の槍や暴力が目立つようになりました。

 

誹謗中傷という言葉は安易に受け取られがちですが、これが理由で自殺してしまう人や精神を病んでしまう人は多く、今や国際的な問題となっています。

 

つい先日でも某池袋事件で妻子を亡くした被害者に対し、脅迫まがいの電話を何度もかけたことで逮捕された事件もありました。

 

誹謗中傷はこのように身近でも起こりうる犯罪行為です。

ネットを主戦場とする犯罪は取締りが難しく、多くの場合黙認されているのが現状です。

近年、誹謗中傷が厳罰化され、サイバー犯罪としてより重く処されるようになりましたが、それでもやはり今一つの抑制効果しか現れておらず、誹謗中傷や悪口などのコメントは後を絶ちません。

 

ここからは誹謗中傷が生まれる原因を1つ1つピックアップしていきたいと思います。

 

ーー① 匿名性が強いから

 

ネットは多くの書き込みやコメントがあり、匿名性が強いツールです。

 

例えば年間の利用者数トップを誇るYouTubeでは、そのコメントの多さゆえに「誰がこのコメントを書いたか」「誰が誹謗中傷を繰り返しているか」といった特定やユーザーの割り出しが困難です。

ゆえに、責任の有無を問われにくく、その強い匿名性を隠れ蓑に誹謗中傷を繰り返す…といったユーザーが多いです。

 

もちろん、誹謗中傷コメントでも自分の返信欄で注意されたり、最悪の場合垢BANというペナルティも用意はされていますが、それが「誹謗中傷をしてはいけない」と相手に自覚させることにはつながりません。

 

口頭注意や軽いペナルティだけでは相手の自覚症状を引き出すことは困難なのです。

 

ーー② 取締りが緩いから

 

昔と比べて誹謗中傷コメントが厳罰化され、逮捕者も多くなってはいますが、それでも刑罰は軽いです。

大体の場合は「少額の科料」「短めの有期刑」と2択にとどまり、誹謗中傷を国側が重く受け止めていないことが見て取れます。

 

誹謗中傷コメントが減らない理由は、その刑の軽さにもあると言えましょう。

 

ーー③ 誹謗中傷を訴えるリスクが大きいから

 

これは逆説的になるのですが、被害者が誹謗中傷を繰り返すユーザーを特定し、訴訟を起こしたとしても、それに伴う弁護士費用や裁判手続きなどその間にかかる「お金と時間」が膨大です。

 

また、仮に裁判で勝ち取れなかったら自分が泣き寝入りしてしまうケースもあります。

加害者からの報復もあり、被害者が訴えを起こすリスクを十分認知しているからこそ何十件もの誹謗中傷が立て込んでしまうのでしょう。

 

誹謗中傷は数が多すぎて対応しきれず、1人1人を訴えていたらそれこそ火の車。

馬鹿らしいと考えて、誹謗中傷は極力無視する。

そういう結論に行き着いてしまうのでしょう。

 

つまり被害者と加害者とで、失うものが多いかどうかの違いですね。

 

ーー④ ストレス社会だから

 

これはマクロ的な俯瞰論になるのですが、そもそもSNSに誹謗中傷を書き込むユーザーは現実社会で満たされないことが多く重なり、そのストレスのはけ口にSNSを利用しているケースが多いです。

 

誹謗中傷を好きこのんで書き込む人は滅多にいません。

それはただの「精神異常者」です。

 

この有り余る誹謗中傷コメントは、その背景に潜むストレス社会が生み出した弊害の1つではないかと。

 

SNSツールの発達は人々の精神的な満足度を高めた反面、それを悪用するユーザーも増やしてしまった。

 

ストレス社会ではTwitterYouTube等でリア充アピールをしている投稿者や目立った芸能人インフルエンサー等が誹謗中傷の肥やしにされやすいです。

 

ユーザーが多いほど特定も難しく、匿名性をいいように利用しては誹謗中傷を繰り返す。

それが次第に常習性を帯びていき、誹謗中傷がますます加速する。

 

被害者が何らかの動きや措置を見せないと匿名性に味を占めたユーザーがこぞって誹謗中傷を極めてしまいます。

 

ストレス社会という根本的な問題も捨てきれない事案ですね。

 

ーー誹謗中傷対策に乗り出し

撲滅に全力を!

 

サイバー犯罪はユーザーの多さに埋もれて誹謗中傷コメントを特定するのが難しく、被害者が届を提出しても「誹謗中傷コメントの取り締まりや罰則」は依然として警察の管轄外に置かれており、受理されるのはほんの一握りです。

未処理の案件が増えると警察署や裁判所の成績が落ちるため、なるべく無駄な被害届は積ませたくない、という「警察の職務怠慢」も誹謗中傷コメントの増加に拍車をかけていると言えましょう。

 

しかしサイバー犯罪は人の心をかき乱す「物理的な暴力」とほぼ同じです。

相手を傷つける、という本質的な意味で言えば暴力沙汰と何も変わりません。

加害者に誹謗中傷はしてはいけないという認識を強く持たせ、それが抑止力につながれば徐々に誹謗中傷コメントは減っていくでしょう。

 

誹謗中傷のない世界に、そして誰もが豊かに過ごせるように、私は切に願っています。