ーースプラトゥーン3
上達の流儀
2022年9月に任天堂より発売されたスプラトゥーン2の後継作、スプラトゥーン3。
インクを撃ち合い、敵を倒したり、足場を塗ったり、壁や地面をスイスイと移動したり…。
いろんな遊び方が成立するバラエティ豊かなゲームです。
レギュラーマッチではインクの塗り面積が多かったチームが勝利とジャッジされ、バンカラマッチ(前作で言うガチマッチ)ではそれぞれ4つのルール(ガチエリア・ガチホコ・ガチアサリ・ガチヤグラ)に設定された課題をクリアしたチームが晴れて白星を挙げることができます。
スプラはただインクを撃ち合うゲームではありません。
相手の動きを読んで”潜伏”したり、逆に相手の潜伏を見抜くためにあらゆるところを塗って”クリアリング”したり、様々な戦法があります。
潜伏というのは相手の盲点となる場所に長時間インクを塗って隠れ、相手が近づいてきたり、隙を見せたタイミングでインクを発射して倒す…というもの。
ガチマッチでは自分1、相手4人といった不利な状況を打破するための切り札的戦法です。
背後を取られた相手はこっち側のインクが先に当たるので不利な戦いを強いられること請け合い。
もちろん、これはあくまで”相手の背後をとった場合”のみ、です。
その間、背後に回るまでの経路を確保したり、相手に悟られずに移動するのは至難の業。
その途中、イカ飛沫(わずかな移動やモノにあたった際に生じる飛沫)が見えた相手に気づかれたり、そもそもマップをこまめにみる相手であれば背後から敵が迫ってきているのは1発でわかります。
この戦法はあくまで初心者〜中級者まで通用すると思っておいてください。
上級者、ましてXマッチの上位勢が集まるレート帯になると、この潜伏行為ですらなかなか通用しません。
潜伏するのならただインクを塗って背後を取るのではなく、なるべくマップで確認されないよう人状態で歩いたり、一定間隔にインクを置いて移動するなどの工夫が必要になります。
また、先ほど挙げたクリアリングという行為は逆にここに潜伏しているであろう相手の行動を読み、むやみに相手のテリトリーに入るのではなく、少し周りを塗って確認してから入る…といったもの。
つまり相手の潜伏行為を看破するんですね。
相手だって猿じゃないのですから、いつなんどき現れるかは予測できません。
そのため、クリアリングで床をしっかりと塗り、相手の索敵・潜伏を見抜くのです。
潜伏は不利な状況を一瞬で変えられるほどの爆発力はありますが、失敗したときのリスクも大きいです。
潜伏している間はインクゲージや味方との意思疎通もできないので、やるからには絶対に成功させるぞ!という気持ちを持って臨む必要があります。
ーーエイムは戦いの基本的な要素
しかしある程度のラインを超えたら、あとはマインドと気合いの問題!
…と、ここまでスプラトゥーン3の心得というか敵を出し抜くための方法などを書いていきましたが、そもそもの話、スプラには”エイム”という戦いの基本的なコアとなるものがあります。
エイムとは「相手に照準を合わせるときの方角」のことを言い、これが少しでもズレていれば相手にインクの弾は当たりません。
エイムの力は相手と1体1の勝負でも強くなるばかりか、チームの勝利にも貢献でき、レートを底上げするきっかけになります。
エイム無くしてスプラトゥーンは語れないといっても良いほど、エイムは戦いの基本的なウエイトを占めているのです。
例えば、いくら潜伏が上手いプレイヤーだろうがそのときのエイムがブレブレだとせっかく背後を取ったのに相手に弾を当てることができず、逆にこっちがカウンターを喰らうことになってしまいます。
これでは本末転倒ですよね。
”エイム力を鍛える”ということはスプラ上達において避けて通れない道です。
最初のうちは難しい技術は求めず、とにかくエイム一辺倒で練習しましょう。
ロビー部分では2とお馴染みのバルーンがあります。
動くバルーンと静止しているバルーンの2通りがありますが、まずは後者のバルーンにエイムを合わせられるようにしましょう。
記憶が正しければバルーンは4つほどあったはずです。
4つのバルーンを最初はゆっくりでいいのでエイムの角度を変えながら合わせていきましょう。
慣れてきたらエイムのスピードを速め、合わせた瞬間にズレていたら少し左か右に微調整する。
これは”瞬間エイム”と呼ばれる技術ですが、あらゆる武器(パブロなど一部例外あり)でこれは必要とされるスキルなので、必ず身につけましょう。
ただバルーンの練習だけではNGです。
実戦を重ねてエイムを少しずつ鍛えるのがセオリー。
エイム力というのは一朝一夕に身につくものではありません。
場数をこなしてこそ、その精度は増していきます。
なので最初はレギュラーマッチで軽く練習をこなして、慣れてきたらバンカラでそのエイム力を活かしてチームを勝利に導きましょう。
また、ひとくちにエイムと言いつつも、使う武器の種類やジャンルによっては多少エイムの合わせ方が異なる場合があります。
例えばチャージャー系統の武器。
チャージャーはご存知の通り、最大溜めで相手にクリーンヒットさせると1発で倒せる武器です。
飛距離が長いので味方の後方援護としての役割を担うのが基本的な使い方です。
そしてチャージャーも”瞬間エイム”という技術とは切っても離せない関係性にあります。
チャージャーは”斜線”と呼ばれるエイムを敵に合わせるという、少し変わった武器なのですが、この斜線の向かう方向に相手をぶち抜いて倒すのが基本。
そしてチャージャーは敵に懐まで入られるとなすすべがありません。
そのため、最大溜めを保持した状態で敵にエイム(斜線)を合わせ、1発で撃ち抜く必要があります。
1度でも外したら敵の格好のマトなので相手に斜線を合わせ、撃ち抜くときは必中を心がけましょう。
例えば相手が近づいてきても最大溜めを保持していれば相手の攻撃が間に合う前に瞬間エイムの力で射抜くことができます。
しかし1度でも外したら当然その後溜める猶予はないので相手にいいようにやられてしまいます。
上手いチャージャー使いであれば連打でも倒せなくはないですが、シューターと比べて威力に欠ける上エイムを合わせるのが難しいのでなるべく1発で倒すように。
また、他にも瞬間エイムが求められる武器といえばシューター全般が挙げられます。
シューターは様々な種類がありますが、「エイムを敵に合わせて弾を3〜5発当てれば倒せる」という本質的なところは同じ。
ただ敵はバルーンと違い、小刻みに動いたり、予測不可能な行動を取ったりします。
そのため、バルーンはこっちに動くから右…といったようにマニュアル通りにはいかない、というのが現実なのです。
敵の動きはマニュアルではなく、プレイヤーの本能や意思で動く…ということを忘れてはいけません。
例えば”偏差撃ち”という用語を聞いたことがあるでしょうか。
これは敵が右(あるいは左)に動くであろう性質を利用し、右に流れるようにエイムを予測して合わせておくこと。
移動中の敵は真正面に撃っても意味がありません。
その移動に合わせて左から右に流れるようにエイムを合わせる必要があるのです。
これは上級者では必須のテクニックとなっています。
また、左から右へ・・だけでなく、下から上へ・・といった、壁をのぼろうとする敵に対しても使えます。
これは絶対にマスターしておきましょう。
最初のうちは難しいでしょうが、実戦を積むうちに敵の動くタイミングが掴めるようになるので、まさしく習うより慣れろです。
少し逸れてしまいましたが、瞬間エイムはヒッセンなどのバケツ系統、さらにはローラーなどの武器に対しても使えるテクニックです。
ヒッセンはその弾?の範囲が広いため、しばしば「ヒッセンはエイムを必要としない武器。」という言われ方をされますが、範囲が広いからってただバシャバシャしているだけではクソ喰らえです。
その範囲の広さにエイム力まで加わったら鬼に金棒です。
誰にも止められない暴走機関車。
エイムを鍛えたヒッセン使いほど恐ろしいものはないと自分は思っていますから(笑)。
ローラーの場合も同じで、横・縦振り問わず、相手が背後に回ってきた場合にも対応できるようエイム力を磨いておくに越したことはないのです。
もし最強を目指したいなら、万事”瞬間エイム”を心がけましょう。
また、万事瞬間エイムと言いつつも、それを実戦の最中でも常に意識しろって言われると難しいですよね。
私もそれで長らく悩んできました。
日によってエイムの調子が悪かったり、頭の中が真っ白で目の動きが追いつかなくなってしまう。
そんな経験、皆さんはありませんか?
目に全エネルギーの神経を集中させ、それを実戦中でも維持しろって、いくらなんでも無茶振りです。
なのでエイム意識(私なりの造語です)を保ちつつ、実戦中はそれを無意識的に行うこと。
具体的にいうとエイムを敵に合わせるという意識は持ちつつも、実戦中はそのマインドを忘れて全身全霊で試合に臨む。
常に”エイムを敵に合わせる”ということを意識してしまうとかえって動きが単調になってしまいがちです。
プロのスプラ実況者の方は試合中、”瞬時にエイムを敵に合わせる”といった行為はおそらく無意識的に行っているはずです。
敵はこっちに動くであろう、右か左敵が動いている…という思考パターンが頭の中に常にインプットされているのです。
それが試合中、超スピードで脳内処理されている。
私はそう解釈しています。
なので哲学的にいえば”手続き的記憶”に近い脳内プロセスかもしれません。
いちいち「エイムを敵に合わせる」「相手の一挙手一投足を目で追う」といった方法ではとても脳の処理が追いつかない。
自転車を乗りこなせるようになったときの感覚、プールでスイスイ泳げるようになったときの感覚、上手い絵を自然と描けるようになったときの感覚…みたいに、いわば意識的から無意識的に移行するまでのプロセスに近いかもしれませんね。
プロはまさに後者の”無意識的”というカテゴリーに属しています。
だから相手がどっちに動くか、エイムを瞬時に合わせたり、イレギュラーな展開にもしっかりと対応できる。
要はエイムをある程度極めたら、その先は「マインド(気持ち)の問題」なんです。
そのマインドが洗練されている日はエイムが一層良くなるでしょうし、調子が悪い日はとことんエイムが下手になってしまう。
でも一定の基準値は満たしているので、マインド次第でエイム力は復活する。
その1日1日のマインドを正常に保てるかどうか、ここがプロになるかなれないかの境目なのだと思います。